No.001屋根と外まわり

パラペットとは?屋上のふちの壁の役割と各部の名前

断面(横から切った図)外側屋上側パラペット床のふちに立つ低い壁笠木天端にかぶせる帽子アゴ防水の端を守る出っ張り防水の立ち上がりドレン(排水口)屋上の床(スラブ)外壁
図:パラペットの断面。朱がパラペット本体。上に笠木がかぶさり、内側を防水がアゴの下まで立ち上がる
名前
パラペット
読み
ぱらぺっと
別の呼び名
立ち上がり壁、胸壁(土木)
英語
parapet
見られる所
ビルや箱型の家の屋上のふち、マンションの屋上、橋のたもと

ひとことで

パラペットは、屋上や平らな屋根(陸屋根)のふちに立ち上がる、低い壁です。屋上に降った雨を排水口へ導き、外壁へ回り込ませない役目と、防水層の端を納める役目を持っています。

掲載

目次
  1. パラペットとは:屋上のふちに立つ低い壁
  2. パラペットの各部の名前
  3. パラペット屋根とは:屋根が見えない箱型の家
  4. パラペットの高さと手すり
  5. パラペットとバルコニーの手すり壁の違い
  6. 橋や護岸のパラペット
  7. パラペットで雨漏りしやすい所

パラペットとは:屋上のふちに立つ低い壁

パラペットは、ビルやマンションの屋上の周りを囲む、腰から胸くらいまでの高さの壁を指す建築用語です。屋上に上がると、床の端がそのまま空中で終わっているのではなく、コンクリートの壁が一段立ち上がって縁を作っています。その縁の壁がパラペットです。

英語の parapet は、もとは城壁や橋の上に設けた「胸の高さの壁」を指す言葉で、身を隠したり落ちるのを防いだりするためのものでした。日本の建築では、高さに関係なく屋上のふちの立ち上がり壁をまとめてパラペットと呼んでいます。現場では「パラ」と縮めて呼ぶ人もいます。

パラペットの役割は大きく3つあります。

  1. 屋上に降った雨を外へこぼさず、排水口(ドレン)へ集める
  2. 屋上の防水層を壁の内側に立ち上げ、端を雨の当たらない位置で止める
  3. 屋上を歩く人が落ちないように縁を作る(高さが足りなければ手すりを足す)

パラペットのいちばん大事な仕事は、防水の端を守ることです。 屋上の防水シートやアスファルトの層は、どこかで終わらせる必要があります。床の端で終わらせると、そこから水が入ります。パラペットがあると、防水層を壁の内側に沿って立ち上げ、雨が直接かからない高さで止められます。

パラペットの各部の名前

断面(横から切った図)外側屋上側パラペット床のふちに立つ低い壁笠木天端にかぶせる帽子アゴ防水の端を守る出っ張り防水の立ち上がりドレン(排水口)屋上の床(スラブ)外壁
図:パラペットの断面。朱がパラペット本体。笠木・アゴ・防水の立ち上がり・ドレンの位置関係

パラペットは1枚の壁ですが、部分ごとに名前があります。打ち合わせや見積書に出てくる言葉は、だいたい次のとおりです。

部分どこか何のためにあるか
天端(てんば)パラペットのいちばん上の面雨が直接当たる。ここのひびが雨漏りの入り口になりやすい
笠木天端にかぶせる金物や石天端を雨から守り、水を壁から離して落とす
アゴ内側の面の途中にある出っ張り防水の立ち上がりの端を上から覆い、雨を当てない
防水の立ち上がり内側の面を上がる防水層床の防水を壁まで続け、すき間を作らない
水切り目地内側の面に入れる横の溝伝ってきた水をそこで切る。アゴの代わりに使うこともある
ドレン屋上の床の排水口集めた雨を縦の管へ流す

天端と笠木

天端(てんば)は、パラペットに限らず「部材のいちばん上の面」を指す言葉です。パラペットの天端はコンクリートのままだと雨が当たり続け、細かなひびから水がしみ込みます。そこで、アルミの笠木をかぶせるか、天端に防水を塗って保護します。

アゴと水切り目地

アゴは、パラペットの内側にあごのように突き出た部分です。防水層はアゴの下まで立ち上げて止め、アゴがその端を雨から隠します。最近の建物では、アゴを作らずに、立ち上がりの端を押さえ金物で留めてシーリング(すき間を埋めるゴム状の材料)でふさぐ納まりも多く見られます。入力候補にも出てくる「パラペット アゴとは」は、この出っ張りのことです。

パラペット屋根とは:屋根が見えない箱型の家

住宅でパラペットといえば、パラペット屋根の家を指すことが多くなります。外から見ると四角い箱のようで、三角の屋根が見えない家です。

正面からパラペット中の屋根(ゆるい傾き)外からは見えないパラペット屋根(箱型)軒(のき)壁から出た屋根三角屋根(切妻)
図:左がパラペット屋根の家。外壁を屋根より高く立ち上げて、ゆるい傾きの屋根を隠している。右は軒のある三角屋根の家

パラペット屋根は、平らに見えても中の屋根には水が流れるだけのゆるい傾きが付いています。外壁を屋根より少し高く立ち上げ、その立ち上がり(パラペット)で屋根を隠しているわけです。すっきりした四角い見た目になり、敷地いっぱいに建てやすいので、街中の住宅でよく選ばれています。入力候補に一条工務店の名前が並ぶのは、同社の箱型のプランにこの作りがあるためです。

パラペット屋根を選ぶときに知っておきたいのは、雨の処理です。三角屋根は軒(のき)が外壁より外へ出ていて、雨は壁から離れた所に落ちます。パラペット屋根は軒が無く、雨は屋根の上で受けて、パラペットの内側のといや排水口から下ろします。

くらべる所パラペット屋根軒のある三角屋根
見た目四角い箱。屋根が見えない屋根の形が見える
雨の行き先屋根の中で受けて、内側の排水口へ軒先から外へ落とす
外壁の汚れ天端から壁を伝う筋汚れが出やすい軒が壁を守る
点検したい所笠木の継ぎ目・排水口のつまり屋根材のずれ・軒先のとい

どちらがよいかは好みと敷地で決まります。パラペット屋根なら、笠木の継ぎ目と排水口を定期的に見られる家にしておくと、雨漏りの心配が小さくなります。

パラペットの高さと手すり

パラペットの高さは、建物ごとに設計図で決まります。人が出入りしない屋上なら、防水を立ち上げられる高さがあれば足ります。

人が出入りする屋上(屋上広場)では話が変わります。建築基準法施行令126条で、屋上広場や2階以上のバルコニーの周りには、高さ1.1m以上の手すり壁・さく・金網を設けることになっています。パラペットだけで1.1mに届かないときは、パラペットの上に手すりを立てて高さを足します。入力候補の「パラペット手摺」「パラペットスタンション」は、この手すりの支柱をパラペットに取り付ける金物の話です。

パラペットとバルコニーの手すり壁の違い

入力候補に「パラペット バルコニー 違い」があります。形はどちらも床のふちの立ち上がり壁で、よく似ています。

呼び分けの目安は「何の上に立っているか」です。屋上や陸屋根のふちに立つ立ち上がりはパラペット、人が出て使うバルコニーのふちに立つ壁は手すり壁(腰壁)と呼ぶのがふつうです。ただし、バルコニーの手すり壁の上にも笠木を付け、防水も立ち上げるので、納まりは同じ考え方です。現場によっては、バルコニーの立ち上がりもパラペットと呼びます。

橋や護岸のパラペット

「パラペット 橋」「パラペット 橋台」で検索されるのは、土木のパラペットです。

断面(橋のたもと)パラペット(胸壁)桁の後ろで土を止める桁(けた)支承(ししょう)橋台(きょうだい)盛り土道路
図:橋のたもとの断面。橋台の上に桁がのり、その後ろに立つ壁がパラペット(胸壁)。背中側の盛り土を止めている

橋の両端を支えるコンクリートの台(橋台)には、桁の端のすぐ後ろに、上へ伸びる薄い壁があります。これがパラペットで、胸壁(きょうへき)や背壁とも呼ばれます。道路の下の盛り土が、桁の端へ崩れ落ちないように止めるための壁です。

港や海岸の護岸の上に立つコンクリートの壁も、パラペットと呼ばれます。こちらは波が陸に上がるのを防ぐ壁です。建築のパラペットとは役目が違いますが、「構造物のふちに立ち上がる壁」という形は共通しています。

パラペットで雨漏りしやすい所

パラペットまわりの雨漏りは、次の4か所から起きることが多いとされています。

  • 笠木の継ぎ目:笠木は数メートルごとに継いでいて、継ぎ目のシーリングが切れると、その下の天端に水が入る
  • 天端のひび:笠木の無いパラペットは、天端のひびから壁の中へ水がしみ込む
  • 防水の立ち上がりの端:アゴや押さえ金物の下で、防水層の端がはがれる
  • ドレンのつまり:落ち葉や砂で排水口がつまると、屋上に水がたまり、立ち上がりより高くなった水が端から回り込む

室内の天井のしみが、屋上の真下ではなく壁ぎわに出るときは、パラペットまわりを疑うのが近道です。業者に点検を頼むときも、「パラペットの笠木の継ぎ目」「ドレン」と部位の名前で伝えると、話が早く進みます。

パラペットのよくある質問

パラペットは何のためにありますか?
屋上の雨を排水口へ集め、屋上の防水層の端を雨の当たらない位置で止めるためです。人が出入りする屋上では、落ちないための縁にもなります。
パラペットの上にかぶせてある金物は何ですか?
笠木(かさぎ)です。パラペットの天端を雨から守り、水を壁から離して落とします。詳しくは笠木の項目を見てください。
パラペット屋根は雨漏りしやすいのですか?
軒が無いぶん、雨を屋根の中で受けて排水口から下ろす作りです。笠木の継ぎ目と排水口のつまりを点検できていれば、ほかの屋根と比べて特別に弱いわけではありません。
橋のパラペットと建物のパラペットは同じものですか?
名前は同じですが役目が違います。橋台のパラペット(胸壁)は、桁の後ろで盛り土を止める壁です。建物のパラペットは屋上のふちの立ち上がりで、雨と防水のための壁です。

確かめた資料

確認日:2026年11月1日

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