No.009積み方

石垣の積み方の種類と名前|野面積みから谷積みまで

石垣を正面から(石の加工のちがい)野面積み(のづらづみ)自然の石をそのまま打込接ぎ(うちこみはぎ)角を割って面をそろえる切込接ぎ(きりこみはぎ)きっちり切って隙間なし左から右へ、石を加工する手間が増える
図:石垣の3つの積み方。左から野面積み・打込接ぎ・切込接ぎで、右へ行くほど石を加工する手間が増える
名前
石垣の積み方
読み
いしがきのつみかた
別の呼び名
野面積み・打込接ぎ・切込接ぎ、布積み・乱積み・谷積み
英語
stone wall masonry styles
見られる所
城の石垣、棚田や畑の段、古い住宅地の擁壁、川の護岸

ひとことで

石垣の積み方は、石をどれだけ加工するか(野面積み・打込接ぎ・切込接ぎ)と、どう並べるか(布積み・乱積み・谷積み)の2つの組み合わせで名前が付いています。城の案内板にある「打込接ぎ乱積み」は、この2つを並べた呼び方です。

掲載

目次
  1. 石垣の積み方は「加工」と「並べ方」の2つで呼ぶ
  2. 石の加工で分ける:野面積み・打込接ぎ・切込接ぎ
  3. 並べ方で分ける:布積み・乱積み・谷積み
  4. 石垣の断面の名前
  5. 練積みと空積み
  6. 畑や庭での石垣の積み方の基本

石垣の積み方は「加工」と「並べ方」の2つで呼ぶ

城の石垣を見に行くと、案内板に「切込接ぎ布積み」「野面積み」といった名前が書いてあります。これは、石の加工の度合いと石の並べ方という2つの物差しで、積み方を言い分けたものです。

物差し名前どんな石垣か
石の加工野面積み(のづらづみ)自然の石をほとんど加工せずに積む
石の加工打込接ぎ(うちこみはぎ)石の角や面を割って、合わせやすくして積む
石の加工切込接ぎ(きりこみはぎ)石を四角くきっちり切りそろえ、すき間なく積む
並べ方布積み(ぬのづみ)横の目地が一直線に通るように並べる
並べ方乱積み(らんづみ)目地をそろえず、大小の石を組み合わせる
並べ方谷積み(たにづみ)石を斜めに傾け、下の石の谷に落とし込むように積む

「打込接ぎ」の「接ぎ(はぎ)」は、石と石の合わせ目をどう作るか、という意味の言葉です。

石の加工で分ける:野面積み・打込接ぎ・切込接ぎ

石垣を正面から(石の加工のちがい)野面積み(のづらづみ)自然の石をそのまま打込接ぎ(うちこみはぎ)角を割って面をそろえる切込接ぎ(きりこみはぎ)きっちり切って隙間なし左から右へ、石を加工する手間が増える
図:左の野面積みは自然の丸い石とすき間の小石、中の打込接ぎは角を割った石と詰め石、右の切込接ぎは切りそろえた石をすき間なく積む

野面積み

野面積みは、山や川から取ってきた石を、ほとんど形を整えずに積む方法です。石の形がばらばらなので、大きな石のすき間に小さな石(間詰め石)を詰めて安定させます。見た目は荒々しいですが、すき間から水が抜けやすく、石どうしの組み合わせで力を逃がすので、崩れにくい積み方とも言われます。棚田や畑の石垣の多くもこの形です。

打込接ぎ

打込接ぎは、石の出っ張った角や面を割って平らにし、隣の石と合わせやすくしてから積む方法です。野面積みよりすき間が小さくなり、それでも残るすき間には、割ったときに出た石を詰めます。石の表面に、割ったときの跡が残っているのが見分けどころです。

切込接ぎ

切込接ぎは、石を長方形に近い形にきっちり切りそろえて、すき間なく積む方法です。石を加工する手間が最もかかるので、城の大手門の近くや天守台など、人目につく大事な場所で使われることが多くあります。表面が平らで、目地が細い線のように見えます。

並べ方で分ける:布積み・乱積み・谷積み

石の並べ方(正面から)布積み(ぬのづみ)横の目地が一直線に通る乱積み(らんづみ)目地がそろわない谷積み(たにづみ)石を斜めにして落とし込む
図:布積みは横の目地が一直線に通り、乱積みは目地がそろわず、谷積みは石を斜めにして落とし込む

布積みは、同じくらいの高さの石を横一列に並べ、その上にまた一列並べる積み方です。横の目地が布の織り目のように一直線に通ります。切込接ぎと組み合わせると、整った石垣になります。

乱積みは、大きさの違う石を組み合わせて、横の目地を通さない積み方です。野面積みや打込接ぎの石垣でよく見られます。

谷積みは、石を斜め(ひし形の向き)に据えて、下の2つの石のあいだの谷に、次の石を落とし込むように積む方法です。落とし積みとも呼びます。住宅地の擁壁や川の護岸では、四角すいの形に加工した間知石(けんちいし)を谷積みにした石垣をよく見かけます。

角だけ積み方が違う:算木積み

城の石垣の角(出隅)は、長方形の石の長い辺と短い辺を、1段ごとに左右交互に組み合わせて積んであることがあります。そろばんを置くときの算木(さんぎ)を並べた形に似ているので、算木積みと呼ばれます。角は崩れやすい場所なので、長い石を交互に差し込んで、両側の面をつなぎ止めています。

石垣の断面の名前

石垣は、表から見える石だけでできているわけではありません。

石垣の断面(横から切った図)築石(つきいし)表に見える石根石(ねいし)いちばん下の大きな石天端石(てんばいし)裏込め(栗石)水を抜き、石を支える小石のり(傾き)地山(もとの土)
図:石垣の断面。表の築石は奥へ傾けて積み、いちばん下に根石、上に天端石。石の裏には栗石を詰めた裏込めがある
名前どこか役目
根石(ねいし)いちばん下の段石垣全体の重さを受ける。大きな石を地面に据える
築石(つきいし)表に見える石石垣の面を作る
天端石(てんばいし)いちばん上の段上の面をそろえる
裏込め(栗石)築石の裏小石を詰めて、雨水を抜き、築石を後ろから支える
飼石(かいいし)築石の下や後ろ石の座りを調整するために挟む小さな石
のり(法)石垣の面面の傾き。奥へ傾けて積むことで、土に押されても倒れにくくする

石垣が崩れる原因の多くは、裏にたまった水です。石垣の裏に小石の層(裏込め)を作るのは、水を下へ逃がして、土の圧力が大きくならないようにするためです。

練積みと空積み

石垣には、石の裏や目地をコンクリートやモルタルで固める練積み(ねりづみ)と、固めずに石だけで積む空積み(からづみ)があります。城の石垣や畑の石垣は、ほとんどが空積みです。

宅地の崖を支える擁壁については、宅地造成及び特定盛土等規制法の施行令8条で、擁壁は鉄筋コンクリート造、無筋コンクリート造、または間知石練積み造そのほかの練積み造とすることが決まっています。住宅地で新しく石の擁壁を作るなら、空積みではなく練積みにする必要があるということです。古い住宅地で、石を積んだだけの擁壁を見かけることがありますが、今の決まりに合っていないことがあるので、土地を買うときは確認しておくと安心につながります。

畑や庭での石垣の積み方の基本

入力候補には「石垣の積み方 畑」「自然石」「diy」が並びます。畑の段や花壇の土留めのような低い石垣を自分で積むときに、押さえておきたいことは次のとおりです。

  1. 根石をしっかり据える:いちばん下は大きく平たい石を選び、地面を少し掘って、ぐらつかないように埋め込む
  2. 石は長い方を奥へ向ける:表に見える面を小さく、奥行き(控え)を長くして据えると、抜け落ちにくい
  3. 奥へ少し傾けて積む:上の段ほど少しずつ後ろへ下げ、面に傾き(のり)を付ける
  4. 縦の目地を通さない:上の石が下の2つの石にまたがるように置く(同じ所で目地が縦にそろうと割れ目になる)
  5. 裏に小石を詰める:1段積むごとに、石の裏に小石を詰めて突き固め、水の抜け道を作る

高さのある石垣や、人が通る道や隣の家に面した石垣は、崩れたときの影響が大きくなります。建築基準法では、高さ2mを超える擁壁は工作物として確認の手続きが要るので、背の高い石垣は専門の業者に相談してください。

石垣の積み方のよくある質問

石垣の積み方にはどんな種類がありますか?
石の加工で分けると野面積み・打込接ぎ・切込接ぎ、並べ方で分けると布積み・乱積み・谷積み(落とし積み)があります。城の案内板の「打込接ぎ乱積み」は、この2つを組み合わせた呼び方です。
野面積みと切込接ぎの違いは?
野面積みは自然の石をほとんど加工せずに積み、すき間に小石を詰めます。切込接ぎは石を四角く切りそろえて、すき間なく積みます。
住宅地の擁壁を石を積んだだけで作ってもよいですか?
宅地造成及び特定盛土等規制法の施行令で、擁壁は鉄筋コンクリート造・無筋コンクリート造・間知石練積み造そのほかの練積み造とすることになっています。石だけを積む空積みは、宅地の擁壁としては認められていません。
畑の石垣を自分で積むときのこつは?
大きな根石をしっかり据え、石の長い方を奥に向け、上の段ほど少し後ろへ下げて積み、裏に小石を詰めて水の抜け道を作ります。

確かめた資料

確認日:2026年11月1日

あわせて引く