No.004躯体と設備の通り道

スラブとは?建築の床の板の厚さと土間との違いを図解

断面(床スラブ)厚さ床スラブ梁と梁に渡したコンクリートの板上端筋(うわばきん)下端筋(したばきん)かぶり鉄筋の外のコンクリート梁梁
図:床スラブの断面。梁と梁に渡した朱のコンクリートの板の中に、上と下の2段で鉄筋が入る
名前
スラブ
読み
すらぶ
別の呼び名
床版(しょうばん)、床スラブ、構造スラブ
英語
slab
見られる所
鉄筋コンクリートや鉄骨の建物の床と屋根。マンションの上下の住戸を分ける床

ひとことで

建築のスラブは、梁や壁に支えられて宙に渡された、鉄筋コンクリートの床や屋根の板です。法令では「床版(しょうばん)」と書きます。マンションで「スラブ厚」と言えば、上下の住戸を分けるこのコンクリートの板の厚さのことです。

掲載

目次
  1. スラブとは:建物の床になるコンクリートの板
  2. スラブの厚さはどう決まるか
  3. スラブと土間の違い
  4. スラブの形いろいろ
  5. スラブに穴を開けるとき:スリーブと開口補強
  6. 鉄道のスラブ軌道

スラブとは:建物の床になるコンクリートの板

スラブは英語の slab(厚い板)から来た言葉です。建築では、床や屋根を形づくる、平たいコンクリートの板を指します。入力候補に「スラブ民族」や「スラブ舞曲」が並びますが、そちらは東ヨーロッパの民族の名前(Slav)で、綴りも意味も別の言葉です。

鉄筋コンクリートの建物は、柱と梁で骨組みを作り、その梁と梁のあいだにスラブを渡して床にします。スラブの上に人が立ち、家具を置き、その重さはスラブから梁へ、梁から柱へ、柱から基礎へと伝わっていきます。

断面(床スラブ)厚さ床スラブ梁と梁に渡したコンクリートの板上端筋(うわばきん)下端筋(したばきん)かぶり鉄筋の外のコンクリート梁梁
図:床スラブの断面。梁と梁に渡したコンクリートの板の中に、上端筋と下端筋が入る。鉄筋の外側のコンクリートがかぶり

スラブの中の鉄筋

スラブの中には、鉄筋が上と下の2段に網の目のように入っています。上の段を上端筋(うわばきん)、下の段を下端筋(したばきん)と呼びます。

板の上に重さがかかると、板は下へたわみます。そのとき、真ん中あたりでは板の下側が引っぱられ、梁に近い所では上側が引っぱられます。コンクリートは押される力には強いのに、引っぱられる力には弱い材料です。引っぱられる側に鉄筋を入れて、その弱さを補っています。

かぶり:鉄筋の外側のコンクリート

鉄筋の外側を覆うコンクリートの厚みをかぶり(かぶり厚さ)と呼びます。かぶりは、鉄筋を雨や空気から守ってさびにくくし、火事のときに鉄筋が熱くなりすぎないようにする役目があります。建築基準法施行令79条では、床のかぶりは2cm以上、土に接する床は4cm以上と決まっています。

スラブの厚さはどう決まるか

スラブの厚さは、渡す長さ(梁と梁のあいだ)と、載る重さで決まります。最低限の線は建築基準法施行令77条の2にあり、鉄筋コンクリートの床版は、

  • 厚さ 8cm以上
  • 短い辺の方向の有効な張り間(支えと支えのあいだ)の 40分の1以上

と決まっています。たとえば短い辺の張り間が6mなら、6,000mm ÷ 40 = 150mm で、15cm以上が最低限になります。構造計算でたわみや揺れに支障が無いと確かめた場合は、この限りではないとも書かれています。

実際の建物では、この最低限より厚く作ることがほとんどです。マンションの「スラブ厚」が気にされるのは、厚いほど上の階の足音や物を落とした音が伝わりにくくなるからです。同じ厚さでも、梁の位置や床の仕上げ(二重床か直床か)で音の聞こえ方は変わるので、厚さだけで決まるわけではありません。

スラブと土間の違い

入力候補に「スラブ 土間 違い」があります。どちらもコンクリートの床ですが、重さを何が受けているかが違います。

土間とスラブ土間コンクリート砕石地面地面が重さを受ける空間(床下・下の階)構造スラブ梁が重さを受ける
図:左は地面の上に直接打った土間コンクリート、右は梁に支えられて下に空間がある構造スラブ
くらべる所土間コンクリート構造スラブ
支えているもの下の地面(砕石を敷いて固めた上)梁や壁
下にあるもの地面そのもの床下の空間や、下の階の部屋
見かける場所1階の床、駐車場、玄関の土間、倉庫2階より上の床、屋根、地下のある建物の1階
割れたとき地面が沈むとひびが入る梁で支えるので地面の影響を受けにくい

土間コンクリートは地面に重さを預けているので、地面が沈むと一緒に沈んでひびが入ることがあります。構造スラブは梁で支える分、厚さや鉄筋の量を計算で決めます。「土間スラブ」という呼び方もあり、現場では土間コンクリートとほぼ同じ意味で使われます。

スラブの形いろいろ

床の板といっても、使う場所に合わせていくつかの形があります。

スラブの形片持ちスラブバルコニー・ひさしボイドスラブ中が空洞で軽い・梁が少ないデッキスラブ鉄骨の建物。波板が型枠を兼ねる鉄骨の梁
図:壁から片側だけで突き出す片持ちスラブ、中に空洞の管を並べたボイドスラブ、鉄の波板の上に打つデッキスラブ
  • 片持ちスラブ:片側だけを壁や梁に留め、反対側は宙に浮いたスラブ。マンションのバルコニーやひさしがこれで、付け根に大きな力がかかるので、上端筋を太く密に入れる
  • ボイドスラブ:中に空洞の管や型を並べて軽くしたスラブ。厚くしても重くなりにくく、小さな梁を省いて天井をすっきりできるので、マンションで多く使われている
  • デッキスラブ:鉄骨の建物で、梁の上に波形の鉄板(デッキプレート)を敷き、その上にコンクリートを打つスラブ。鉄板が型枠の代わりになる
  • 屋根スラブ:最上階の天井の上にある屋根の板。上に防水をかけ、ふちにはパラペットが立ち上がる

シンダーコンクリートとの違い

入力候補の「スラブ シンダー」は、屋上のスラブの上にかぶせるシンダーコンクリートのことです。防水層の上に打って、防水を日光や歩く人から守る押さえのコンクリートで、建物の重さを支える役目はありません。スラブは骨組みの一部、シンダーコンクリートは防水を守る仕上げ、と分けて覚えると混ざりません。

スラブに穴を開けるとき:スリーブと開口補強

トイレや台所の排水管は、床のスラブを縦に貫いて下の階の配管へつながります。この穴は、コンクリートを打つ前にスリーブを入れて作っておきます。

穴を開けると、その部分の鉄筋が途切れます。そこで、穴のまわりに補強の鉄筋を足して、切れた鉄筋が受け持っていた力を回り道させます。入力候補の「スラブ スリーブ 補強筋 基準」は、この補強の入れ方の決まりを探している人の検索です。補強の本数や長さは、設計図書(特記仕様書や構造図の標準図)で決まっているので、現場ではまずその図を見ます。

鉄道のスラブ軌道

入力候補の「スラブ軌道」は、鉄道の線路の作り方の名前です。砂利(バラスト)の上に枕木を並べるかわりに、コンクリートの板(軌道スラブ)を敷いて、その上にレールを留める作りを指します。新幹線の高架橋で多く使われ、砂利のつき固めのような手入れが少なくて済みます。建物のスラブと同じく「コンクリートの板」という意味の言葉です。

スラブのよくある質問

建築のスラブとは何ですか?
梁や壁に支えられて渡された、鉄筋コンクリートの床や屋根の板のことです。法令では床版(しょうばん)と書きます。
スラブの厚さに決まりはありますか?
建築基準法施行令77条の2で、鉄筋コンクリートの床版は厚さ8cm以上、かつ短い辺の方向の有効な張り間の40分の1以上と決まっています。実際はこれより厚く作るのがふつうです。
スラブと土間コンクリートの違いは?
土間コンクリートは地面の上に直接打ち、重さを地面に預けます。構造スラブは梁や壁に支えられ、下に空間や下の階があります。
スラブ厚が厚いと何がよいのですか?
上の階の足音や物を落とした音が下へ伝わりにくくなります。ただし聞こえ方は梁の位置や床の仕上げでも変わります。

確かめた資料

確認日:2026年11月1日

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