No.003躯体と設備の通り道
スリーブとは?建築で配管を通す筒の種類と梁の目安
- 名前
- スリーブ
- 読み
- すりーぶ
- 別の呼び名
- さや管、貫通スリーブ、梁貫通(梁のスリーブ)
- 英語
- sleeve (pipe sleeve)
- 見られる所
- コンクリートの床・梁・外壁。配管や電線が壁を抜ける所の、管のまわりの筒
ひとことで
建築のスリーブは、コンクリートの床・梁・壁に、配管や配線を通す穴をあらかじめ作っておくための筒です。コンクリートは固まってから穴を開けると鉄筋を切るおそれがあるので、打つ前に筒を入れて穴の場所を確保します。
掲載
スリーブとは:コンクリートに穴を残すための筒
スリーブは英語の sleeve(そで)から来た言葉で、建築では「管を包む筒」を指します。服のそでに腕を通すように、筒の中に配管や電線を通すので、この名前で呼ばれています。日常で耳にするスリーブ(カードを入れる袋や、袖のない服のスリーブレス)とは別の意味です。
鉄筋コンクリートの建物では、床も梁も壁もコンクリートの塊です。そこへ水道管・排水管・空調のダクト・電線を通すには、どこかに穴が要ります。固まったあとにドリルで穴を開ける(コア抜き)こともできますが、中の鉄筋を切ってしまうおそれがあり、建物の強さに響きます。そこで、コンクリートを流し込む前に、型枠の中へ筒を据えておくのがスリーブの考え方です。固まると、筒の分だけ穴が残ります。
スリーブが入る場所は大きく分けて3つです。
| 場所 | 通るもの | 呼び方の例 |
|---|---|---|
| 床(スラブ) | トイレ・キッチンの排水管、上下の階をつなぐ配管 | 床スリーブ、スラブスリーブ |
| 梁 | 横に走る給水管・空調の管・ダクト | 梁スリーブ、梁貫通 |
| 外壁・地下の壁 | 給水の引き込み、エアコンの冷媒管、ガス管 | 外壁スリーブ、つば付きスリーブ |
床(スラブ)そのものの話はスラブの項目にまとめています。
スリーブの種類:紙・塩ビ・鋼管・つば付き
スリーブの材料は、そこを通る管と、場所に求められる性能で選びます。
紙製のスリーブ(ボイド管)
厚紙を筒に巻いたボイド管は、軽くて安く、のこぎりで切れるので、穴をあけるだけの用途によく使われます。紙は水を吸うと形が崩れるため、型枠の役目を終えたら抜き取るのが基本です。横浜市の機械設備工事の施工マニュアルでも、紙製の仮枠は変形を防ぐ手立てをとり、配管を通す前に必ず取り除くことになっています。
塩ビ管のスリーブ
水道や排水に使う塩ビ管を、そのままスリーブにする方法です。抜かずに残しておけるので、床のスリーブや、土に接する部分で使われます。
鋼管のスリーブ
鉄の管のスリーブは、熱や力に強く、形が崩れません。梁を貫く所や、防火の区画を貫く所など、しっかりした筒を残したい場所で使われます。亜鉛めっきの鉄板を丸めた薄いスリーブもあります。
つば付き鋼管スリーブ
鋼管のまわりに、ドーナツ形の鉄の板(つば)を溶接したスリーブです。外壁や地下の壁、水槽の壁のように、水を止めなければならない所で使います。理由は次の節で説明します。
外壁のスリーブは水の通り道になりやすい
外壁や地下の壁を貫くスリーブは、外の雨や地下水にとって、建物の中へ入る近道になります。水の入り口は2か所あります。
- スリーブの外側と、まわりのコンクリートのすき間
- スリーブの内側と、中を通る配管のすき間
1つ目を止めるのが、つば付き鋼管スリーブの「つば」です。つばがコンクリートの中に埋まると、筒の外側を伝ってくる水の道がつばで折れ曲がり、まっすぐ中まで届かなくなります。筒のまわりに水を吸うとふくらむ止水材を巻く方法もあります。2つ目のすき間は、配管を通したあとにシーリング材や専用の部材でふさぎます。
エアコンを付けるときに外壁に開いている穴も、多くはこのスリーブです。壁の中の筒とエアコンの配管のすき間は、パテでふさいで雨と虫が入らないようにします。
梁にスリーブを開けるときの目安
梁は、床の重さを柱へ伝える大事な部材です。そこへ穴を開けるので、スリーブの大きさと位置には目安があります。設計でよく使われる考え方は次のとおりです。
- 穴の径は、梁せい(梁の高さ)の3分の1まで
- 穴は梁の高さの真ん中あたりに開ける(上下の端は力が大きく、鉄筋も集まっている)
- 柱のすぐ近くは避け、柱の面から梁せいと同じくらいは離す
- 穴を2つ並べるときは、中心の間を穴の径の3倍以上あける
これらは目安で、実際の大きさと位置は構造設計者が決め、穴のまわりには補強の鉄筋や補強用の金物を入れます。最近は、梁せいの3分の1を超える大きな穴を、専用の補強金物で開けられる工法もあります。マンションのリフォームで「この梁に穴を開けて配管を通したい」という話が出ても、後から開けることはまずできません。梁のスリーブは、建てるときに決めておくものです。
スリーブの位置がずれるとどうなるか
スリーブは、コンクリートを打つ前の決まった日までに、図面どおりの位置へ据えておく必要があります。現場では、配管の図面と構造の図面を重ねた「スリーブ図」を作り、設備の職人が型枠の上でスリーブを1本ずつ固定していきます。
この作業で入れ忘れたり、位置がずれたりすると、固まったあとに直すのは大仕事です。配管が通らない、勾配が取れない、といったことになり、コア抜きでやり直すことになります。コア抜きのときは、中の鉄筋を探る機械で位置を確かめてから穴を開けます。スリーブは、設備の工事なのに、コンクリートを打つ日程に合わせて先に動く必要があるので、建設の現場では設備と躯体の段取りを合わせる話題の筆頭になります。
スリーブのよくある質問
建築のスリーブとは何ですか?
スリーブとコア抜きの違いは?
梁にはどのくらいの大きさのスリーブを開けられますか?
つば付きスリーブは何のためにありますか?
確かめた資料
- 横浜市 機械設備工事施工マニュアル(スリーブの材料と施工の例)
- 日本建設業連合会 建築設備の施工ポイント(スリーブ・貫通部の止水)
- 日本建築総合試験所 建築技術性能証明 評価概要(RC梁の貫通孔補強工法)(従来の貫通孔径は梁せいの1/3以下、中心間隔は孔径の3倍以上という前提)
確認日:2026年11月1日
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