No.008構造のかたち
壁式構造とは?柱の無い部屋の作りと何階まで建つか
- 名前
- 壁式構造
- 読み
- かべしきこうぞう
- 別の呼び名
- 壁式鉄筋コンクリート造、壁構造
- 英語
- bearing wall structure (RC wall system)
- 見られる所
- 5階建てまでの低層マンション・団地・アパート、ツーバイフォーの家
ひとことで
壁式構造は、柱や梁を使わず、厚いコンクリートの壁と床の板を箱のように組み合わせて建物を支える作りです。低層の団地やマンションに多く、部屋の隅に柱の出っ張りが無いのが目印です。
掲載
壁式構造とは:壁と床で作る箱
壁式構造は、建物の重さや地震の力を、壁で受け止める骨組みです。段ボール箱を思い浮かべてください。柱が1本も無くても、6枚の面がつながっていれば箱はつぶれません。壁式構造は、この箱を床の板で仕切りながら積み重ねた作りです。
建物を支える壁を耐力壁(たいりょくへき)と呼びます。壁式構造の耐力壁は鉄筋コンクリートで、部屋を仕切る壁の多くが、そのまま建物の骨組みになっています。窓やドアは、耐力壁に開けた穴という扱いです。
壁式構造には、大きく分けて2つの仲間があります。
- 壁式鉄筋コンクリート造:コンクリートの壁と床で作る。団地や低層マンションに多い
- 壁式プレキャスト鉄筋コンクリート造:工場で作ったコンクリートの壁や床の板を、現場で組み立てる
木造のツーバイフォー(枠組壁工法)も、柱ではなく、木の枠に板を張った壁と床で支えるので、壁で持つという点では同じ考え方の仲間です。
壁式構造は何階まで建てられるか
入力候補に「壁式構造 何階まで」があります。鉄筋コンクリートの壁式構造には、国の告示(平成13年国土交通省告示第1026号)で大きさの決まりがあります。
| 決まり | 数字 |
|---|---|
| 地上の階数(地階を除く) | 5以下 |
| 軒の高さ | 20m以下 |
| 各階の高さ(床の上面から上の階の床の上面まで) | 3.5m以下 |
6階建て以上のマンションは、壁式構造では建てられないので、ラーメン構造などの別の作りになります。5階建て以下の団地や低層マンションで壁式構造が多いのは、この範囲がちょうど合うからです。
壁式構造の壁の厚さ
入力候補の「壁式構造 壁厚」の答えも、同じ告示にあります。鉄筋コンクリートの壁式構造の耐力壁の厚さは、建物の階数と、その階が何階かで決まっています。
| 建物 | 階 | 耐力壁の厚さ |
|---|---|---|
| 平屋(地上1階) | 地上階 | 12cm以上 |
| 地上2階建て | 地上階 | 15cm以上 |
| 地上3階建て以上 | 最上階 | 15cm以上 |
| 地上3階建て以上 | その他の地上階 | 18cm以上 |
| どの建物も | 地階 | 18cm以上 |
構造計算で安全を確かめた場合は、計算で求めた厚さ(ただし12cm以上)にできるという決まりもあります。告示には、各階の床面積あたりに必要な壁の長さ(壁量)も決まっていて、壁を減らしすぎない仕組みになっています。
壁式構造とラーメン構造の見分け方
ラーメン構造は柱と梁の枠で持つ作りで、壁式構造とは反対の考え方です。部屋の中を見ると、どちらか見当がつきます。
- 部屋の隅に柱の出っ張り(柱型)が無く、四隅がすっきりしている
- 天井に梁の出っ張り(梁型)が無いか、あっても小さい
- 建物が5階建て以下
- 窓が小さめで、壁の量が多い
この4つがそろえば、壁式構造の見込みが高くなります。ただし、ラーメン構造でも柱を外に出して隅をすっきりさせた作りがあるので、確実なのは図面や管理会社の資料の「構造」の欄です。
壁式構造のよいところと気になるところ
| 項目 | 壁式構造 |
|---|---|
| 部屋の使いやすさ | 柱型・梁型が出ないので、家具を壁ぎわに置きやすい |
| 地震 | 建物のどの方向にも壁が多く入るので、揺れに対して粘り強い作りとされる |
| 音 | 住戸の境が厚いコンクリートの壁なので、隣の音は伝わりにくい |
| 窓・間取り | 壁の量が決まっているので、大きな窓や広い空間を作りにくい |
| リフォーム | 耐力壁を取り払えない。間取りを大きく変えにくい |
入力候補に「壁式構造 うるさい」もありますが、住戸の境が厚いコンクリートになる分、隣からの音にはむしろ有利な作りです。上の階からの足音は、スラブの厚さと床の仕上げで変わります。
団地に壁式構造が多い理由
昭和の団地を思い浮かべると、4階か5階建てで、同じ形の棟が並んでいる姿が浮かびます。こうした団地の多くは壁式構造で建てられています。
理由は、壁式構造の得意な範囲と、団地の作りがよく合っていたからです。団地の住戸は、同じ大きさの部屋が上下左右に規則正しく並び、部屋を仕切る壁がそのまま上の階まで同じ位置に通ります。壁が上下でそろうと、壁式構造は無理なく力を下へ伝えられます。エレベーターの無い5階建てまでという高さも、壁式構造の決まりの範囲に収まります。柱や梁の型枠を作らずに済み、同じ形の部材を繰り返し使えるので、たくさんの住戸を早く建てるのにも向いていました。
今でも、3〜5階建ての賃貸マンションや社宅で壁式構造はよく使われています。内見で「部屋の隅がすっきりしているな」と感じたら、壁式構造かもしれません。
リフォームで抜けない壁
壁式構造でいちばん知っておきたいのは、骨組みの壁は抜けないことです。
2部屋をつなげて広いリビングにしたい、というリフォームは、その間の壁が耐力壁だとできません。 耐力壁に新しく出入口の穴を開けることも、建物全体の強さに関わるので、ふつうはできません。一方、耐力壁でない間仕切りの壁(石こうボードなどの軽い壁)は、取り払ったり位置を変えたりできます。
どの壁が耐力壁かは、構造図で確かめられます。中古の団地やマンションを買ってリフォームする予定なら、購入の前に管理組合や不動産会社から構造図を見せてもらい、動かしたい壁が耐力壁かどうかを確かめておくと、あとで計画が崩れません。マンションでは、耐力壁は共用部分の扱いになっていることが多く、そもそも住戸の持ち主が手を付けられない決まりにもなっています。
壁式構造のよくある質問
壁式構造は何階まで建てられますか?
壁式構造の壁の厚さはどれくらいですか?
壁式構造の部屋の壁は壊してつなげられますか?
壁式構造とラーメン構造はどう見分けますか?
確かめた資料
- 壁式鉄筋コンクリート造の構造方法に関する技術的基準(平成13年国土交通省告示第1026号)(第一 階数・軒の高さ・階高、第五 壁量・耐力壁の厚さ)
確認日:2026年11月1日
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